GeckoFlag コラム

プロジェクト管理・課題管理ツール選びのヒント

連載「AIと働くチームのタスク管理」第2回

課題は「作ること」より「決めること」で立てる AIと働く制作チームの課題の書き方

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連載「AIと働くチームのタスク管理」第2回 課題は「作ること」より「決めること」で立てる

この連載について

「AIと働くチームのタスク管理」は、ChatGPTやGeminiを仕事で使い始めた、制作やクライアントワークの小さなチームに向けた、全6回の連載です。どの回からでも読めます。

  1. AIを使い始めたら、タスク管理ツールはいらなくなる?
  2. 課題は「作ること」より「決めること」で立てるこの記事
  3. 「判断待ち」を見えるようにする
  4. AIが出した案は「完成品」ではなく「判断材料」
  5. クライアントの「確認待ち」で止まらない進め方
  6. 記録があると、AIがもっと手伝える

課題の一覧に、「トップページ デザイン制作」が3週間前から「処理中」のまま残っています。担当のデザイナーに様子を聞くと、こんな答えが返ってきました。

「デザインは、ほぼできています。AIでたたき台を作ったので、早かったんです。ただ、実績の欄に載せる事例が、まだクライアントから届いていなくて」

遅れていたのは、デザインではありませんでした。「どの実績を載せるか」が、まだ決まっていなかったのです。

前回は、AIで「作る」作業は速くなったのに、「決める」ことは速くならない、という話をしました。

今回は、その「決めること」を課題として立てる方法を紹介します。課題の名前の付け方と、説明欄にそのまま貼れるテンプレートも載せています。

※この記事は、GeckoFlagの開発元が書いています。

「〜を作る」課題が止まる理由

課題の一覧を開くと、「〜を作る」「〜を制作する」という名前が並んでいることがよくあります。作業を中心に仕事を分けてきたので、自然なことです。

ところが、「トップページのデザインを作る」という1つの課題の中には、決めなければならないことがいくつも入っています。

  • メインビジュアルをどんな方向にするか
  • 実績の欄に、どの事例を載せるか
  • お問い合わせフォームに、どんな項目を置くか
  • 写真は撮影するのか、素材を使うのか

AIを使えば、デザインのたたき台はすぐに出せます。けれども、この中の1つでも決まらなければ、デザインは「完了」になりません。課題は「処理中」のまま動かなくなります。

外から見ると、作業が遅れているように見えます。実際には、だれかの判断を待っているだけです。この2つが課題の一覧で区別できないことが、問題の本当の原因です。

「作る」課題が止まっているとき、その中にはまだ決まっていないことが隠れています。

「決めること」を課題に切り出す

そこで、「作る」課題の中に隠れている「決めること」を、別の課題として切り出します。「作る」課題はなくさずに残し、その前に「決める」課題を並べるのがポイントです。

もとの課題 切り出した課題
トップページのデザインを作る【決める】メインビジュアルの方向性を2案から決める
【決める】掲載する実績を3件選ぶ
【決める】お問い合わせフォームの項目を確定する
【作る】決まった方向でトップページのデザインを仕上げる

課題の名前は、「〜を決める」「〜を選ぶ」「〜を確定する」「〜を確認してもらう」のような言い方にそろえます。名前を見ただけで、手を動かす作業なのか、だれかの判断なのかが分かるようにするためです。

並べる順番にも気を配ります。決める課題の期限は、作る課題の期限より前に置きます。「仕上げは月末まで」なら、メインビジュアルの方向性はその2週間前、掲載する実績は10日前、というように、作業にかかる日数を引いて逆算します。こうしておくと、どの判断が遅れると全体が遅れるのかが、日付で分かるようになります。

決める課題が片付くと、作る課題は一気に進みます。AIを使う作業ほど、この差は大きくなります。決まったことをAIに伝えれば、仕上げの作業は短い時間で済むからです。

決める課題に書いておくこと

決める課題には、説明欄に次の項目を書いておきます。項目名はそのまま使えるので、手元のメモなどに置いておき、課題を作るときに貼り付けてください。

項目 書く内容
決めたいこと1文で書きます。「AかBか」の形にできると、答えやすくなります
止まっているものこれが決まらないと、どの作業が進まないか
選択肢A案・B案など。AIで作った案があれば添えます
決める人1人の名前。社内の人か、クライアントかも書きます
期限その後の作業が止まる日から逆算した日付
決まったこと決まったら書き足します
理由1〜2行。あとから「なぜこれにしたの?」と聞かれたときのためです

なかでも大切なのが「止まっているもの」です。この欄があると、決める人に「これが決まらないと、撮影の手配ができません」と、急ぐ理由が伝わります。

たとえば、次のように書きます。

記入例:メインビジュアルの写真

  • 決めたいこと:メインビジュアルの写真を「スタッフの写真」にするか、「イメージ素材」にするか
  • 止まっているもの:トップページのデザインの仕上げ、撮影の手配
  • 選択肢:A スタッフの写真(撮影が必要)/B イメージ素材/C 公開時はBにして、撮影後にAへ差し替える
  • 決める人:クライアントの広報担当の方
  • 期限:カメラマンの予約の締め切り日
  • 決まったこと:C
  • 理由:公開日を守りつつ、会社らしさはあとから出せるため

選択肢にAIで作った案を添えるときは、出てきた案をすべて並べないことが大切です。

連載AIで作った案の扱い方は、第4回「AIが出した案は『完成品』ではなく『判断材料』」で詳しく取り上げています

決める課題を立てるときのコツ

1決める人は1人にする

「みんなで決める」と書いた課題は、まず決まりません。だれもが、だれかが決めてくれると思ってしまうからです。相談する相手が何人いても、最後に決める人は1人にします。

2期限は「次の作業が止まる日」にする

期限は「このくらいに決めたい」という希望の日ではなく、「これ以上待つと、次の作業が止まる日」にします。理由のある日付なので、決める人にも重みが伝わります。

3細かくしすぎない

決めることを全部課題にすると、課題の数が増えすぎて、だれも一覧を見なくなります。課題にするのは、次のどれかに当てはまるものだけで十分です。

  • 自分以外の人の判断が必要
  • 決まらないと、ほかの作業が止まる
  • あとから「なぜこうしたのか」を聞かれそう

自分ひとりで今すぐ決められることは、課題にせず、その場で決めてしまいましょう。

4決まったら、理由を1行残してから閉じる

決まったら、説明欄の「決まったこと」と「理由」を書き足し、コメントでも「Cに決まりました。理由は〜」と残してから、課題を完了にします。理由は1行でかまいません。この1行が、数週間後に「なぜこの写真にしたんだっけ」と聞かれたときに役に立ちます。

切り出しをAIに手伝ってもらう

「作る」課題の中に、どんな「決めること」が隠れているか。この洗い出しは、AIが得意な仕事です。たとえば、次のように頼みます。

依頼文の例

Webサイト制作の案件で、「トップページのデザインを仕上げる」という作業があります。この作業を終わらせるために、だれかが決めなければならないことを挙げてください。それぞれについて、次の3つも書いてください。

  • 決めることの内容(「AかBか」の形で)
  • 決めるのは制作側か、クライアント側か
  • 決まらないと止まる作業

AIは、思いつかなかった項目まで挙げてくれます。ただし、どれを課題にするか、だれが決めるかを決めるのは人です。AIが挙げた候補を見ながら、上の「細かくしすぎない」で挙げた3つの条件に当てはまるものだけを課題にしましょう。

依頼文にクライアントの名前や、まだ公開していない情報を入れるときは注意が必要です。

連載AIに渡す情報の線引きは、第6回「記録があると、AIがもっと手伝える」で詳しく取り上げています

GeckoFlagでの実践例

最後に、この記事のやり方をGeckoFlagで行う例を紹介します。

  • 課題タイプに「判断」を足す:課題タイプは管理者が自由に追加でき、色も付けられます(最大10件)。「判断」だけ目立つ色にしておくと、一覧で決める課題がすぐに見分けられます。
  • 決める人は「担当者」、期限は「期限日」に:担当者は1人だけ設定できるので、「決める人は1人」と自然にそろいます。
  • テンプレートは「詳細」に貼る:決める課題を作るときに、手元に置いたテンプレートを課題の詳細(説明)欄に貼り付けて埋めます。
  • 「作る」課題を親課題にする:「作る」課題を親課題にして、その下に「決める」課題を子課題としてつなげておけます。1つの作業に、どんな判断が関わっているかをたどりやすくなります(親子課題は2階層まで、同じプロジェクトの中で使えます)。
  • 決まったことはコメントで残す:コメントを投稿するときに、ステータスも同時に変えられます。決める課題に「Cに決まりました。理由は〜」と書いて、そのまま「完了」にすれば、決まったことと状態の変化が一度に残ります。あわせて、親の「作る」課題を「決定・作業中」などの仕上げのステータスに進めます。
GeckoFlagの課題タイプの一覧。名前と色を付けた課題タイプが並んでいる
課題タイプの一覧。名前と色は管理者が自由に設定できます(画面例:GeckoFlag)※GeckoFlagは15言語に対応しています。

決める人がクライアントの場合、クライアントをゲストとして招いていれば、そのまま担当者に設定できます。招いていない場合は、社内の窓口の人を担当者にして、説明欄の「決める人」にクライアントの担当の方の名前を書きます。

連載クライアントをツールに招くかどうかは、第5回「クライアントの『確認待ち』で止まらない進め方」で詳しく取り上げています

GeckoFlagの「AIで作成」を使っている場合は、もう一歩進められます。打ち合わせのメモから課題の入力案を作るこの機能には、管理者が「課題の説明」の出力テンプレートを登録できます。テンプレートに上の7つの項目を見出しとして入れておけば、AIが作る説明も同じ見出しの順番になります(メモに情報のない見出しは省かれるので、「決まったこと」「理由」などは、あとから書き足します)。テンプレートが使われるのは「AIで作成」を使ったときだけで、手で課題を作るときに自動で入るわけではありません。また、利用にはAnthropic社のAPIキーと、その利用料が別に必要です。

課題タイプや親子課題の使い勝手は、デモで試せます。機能の一覧は「プロジェクト・タスク管理」のページにまとめています。

まとめ

  • 「〜を作る」課題が止まっているとき、その中には、まだ決まっていないことが隠れている
  • 「決めること」を別の課題として切り出し、「作る」課題の前に並べる
  • 決める課題には、決めたいこと・止まっているもの・選択肢・決める人・期限・決まったこと・理由を書く
  • 決める人は1人、期限は次の作業が止まる日。決まったら理由を1行残す

課題の名前を「作る」から「決める」に変えるだけで、案件がどこで止まっているかが見えるようになります。

次回は、ステータスを見直して、「判断待ち」の課題を一覧で見えるようにする方法を取り上げます。